🧠 僕がこの案件に関心を持った理由

こんにちは、リョウです。
社内SEとしてAIツールの導入やシステム開発をしている僕にとって
「AIが自動で稼ぐ」という言葉ほど気になるものはありません。
そんな中で見かけたのが
鈴木亮氏が監修とされる『世界一シンプルなほったらかしFX』。
名前だけ聞くと、まるでAIが自動的に利益を積み上げてくれる夢のようなツールに思えます。
でも、エンジニアとしての勘が働きました。
「シンプル」と言いつつ、そこにどんなロジックと裏側があるのか?
“AI”と名乗る以上、どの程度の自動化が実現されているのか?
今回は、技術者の視点でこの案件を構造的に深掘りしてみます。
⚙️ 「ほったらかしFX」はAIではなく“ルールベース自動売買”
まず、結論から言うと――
この案件で言う「AI」は、いわゆる学習型AI(ChatGPTのようなもの)ではありません。
実際の仕組みは、MT4(MetaTrader4)などで動作する
EA(Expert Advisor)型の自動売買プログラム。
これは過去のチャートデータを分析し、あらかじめ設定された条件で売買を繰り返す“ルールベース型”です。
例えば
- 移動平均線がゴールデンクロスしたら買い
- RSIが70を超えたら売り
- トレンド転換でポジションをクローズ
といった単純なアルゴリズムの積み重ね。
つまり“AI”というより、条件分岐の自動化なのです。
AIのように市場データを自律的に学習し
自分で最適化していくような知能は搭載されていません。
📈 表向きは“初心者救済ツール”、実態は販売型ビジネス
サイトでは「初心者でも放置で稼げる」「勝率95%」「スマホで完結」など
いかにも“楽に稼げそうなコピー”が並びます。
ただ、仕組みをよく見るとビジネス構造が販売者優位になっていることが分かります。
● 初期費用とサブスクリプション
EA本体の価格は20万~30万円前後。
それに加え、月額のサポート費やVPS(サーバー)利用料が必要になります。
つまり一度買えば終わりではなく、継続課金モデルです。
● 提携ブローカーとの取引報酬
ユーザーが指定されたFX口座を使えば
取引ごとに販売者へリベート(アフィリエイト報酬)が発生します。
ユーザーが損をしても、販売者側は利益が出る構造。
要するに「ユーザーが勝たなくてもビジネスは成立」しているのです。
🧩 利益より“稼働率”を重視するAI設計
技術的に見て、このツールの設計思想は「リスクを細かく管理するAI」ではなく
“とにかく取引を回すことで見かけの実績を積み上げるAI”に近い印象を受けます。
具体的にはこんな動きが考えられます。
- 小さな利益を何度も積み重ねるスキャルピング型ロジック
- 損切りラインを大きく設定して「勝率」を高く見せる
- 取引回数を多くして“安定稼働”を演出
これにより、一時的には「毎日勝っているように見える」チャートを作りやすいのです。
しかし、1回の急落(いわゆる“逆噴射”)が起きると
1日の利益をすべて吹き飛ばすほどの損失が出ることもあります。
こうした「勝率と損益率のトレードオフ構造」を理解していないと
“安定”が一瞬で崩れるリスクを抱えることになります。
💬 出金・サポート・契約面の懸念点

口コミや体験談を追うと、次のような声が目立ちます。
- 出金に時間がかかる
- 問い合わせに返信がない
- 「アップデート版を買えば改善される」と追加販売を勧められる
これは僕の経験上、“システムよりも運営側の体制に問題がある”パターンです。
EA自体はMT4に入れれば動きますが、肝心なのは出金・管理・保証の透明性。
運営側が管理する口座に直接入金する形であれば
最悪の場合「利益が消える」「返金できない」といったトラブルも起こり得ます。
💰 参加にかかる費用の実態
ここで、実際に始めるときのコストを整理してみましょう。
| 費用項目 | 金額目安 | 補足 |
|---|---|---|
| EA購入費 | 約25〜30万円 | キャンペーン価格などを装うケースも |
| VPSレンタル料 | 月3,000〜5,000円 | 常時稼働のため必須 |
| 初期証拠金 | 約10万円〜 | 指定口座で運用 |
| 有料アップデート・延長サポート | 数万円〜 | 実質的な追加課金 |
つまり、「放置で稼げる」と言いながらも、初期投資で40万円前後かかる計算。
しかも「保証」や「返金」は基本的にナシ。
これを“副業”と呼ぶには、ややリスクが高い構造です。
🧮 技術者として見た「AI投資」の限界
僕もAIの現場に携わる身として言います。
AIが万能なように見えるのは、“過去データを前提にした世界”だからです。
AIは「過去のパターン」を分析するのは得意ですが
未来の不確実性には極端に弱い。
為替は、経済指標・地政学・投機筋・AI取引同士の干渉――
人間の思惑と確率が入り乱れる世界。
そこに“完全自動”を持ち込むことは
いわば「天気予報で未来の風速を10年先まで当てるようなもの」。
放置すれば楽、ではなく
放置すれば“管理不能”になる世界なのです。
🧭 僕が感じた最大のリスクと向き合い方
この案件の一番のリスクは
“自分の手を離れる設計になっていること”。
すべてが自動で完結してしまうと
「なぜ負けたのか」「何が起きているのか」が見えなくなります。
つまり、コントロールできない投資=ギャンブルと同義。
僕が副業やAIツールに取り組むときに意識しているのは
「理解できない仕組みにはお金を預けない」というルールです。
🧱 実際の成功者はどんな人?
調べていくと、このツールで利益を出せている人も少数ながら存在します。
しかし、その多くは投資経験者・プログラム知識がある層。
たとえば
- EAの設定を自分で微調整できる
- VPSやMT4を自力で管理できる
- 為替指標の影響を理解している
こうした“管理・理解・調整”ができる人ほど結果を残しています。
裏を返せば、「完全放置で初心者OK」は誤解を生みやすいコピーだと言えます。
🚩 「シンプル」は危うさと隣り合わせ

「世界一シンプルなほったらかしFX」は
言葉だけ見れば魅力的です。
でも、シンプルさとは“手軽さ”ではなく、“透明さ”であるべき。
- 利益が出る仕組みが明確か?
- 出金条件が公開されているか?
- 実績はリアル口座で提示されているか?
この3点をクリアしていない自動売買ツールには
どんなにレビューが良くても慎重になるべきです。
🧩 AIでも、人生は放置できない
僕はAIの力を信じています。
けれど、AIを“魔法”と勘違いした瞬間、人間の判断は止まります。
ほったらかしで稼ぐ――その言葉は
働く人間の希望であり、同時に“油断”の象徴でもあります。
副業でも投資でも、最終的に舵を取るのは自分自身。
放置ではなく「理解した上で任せる」。
これこそが、AI時代の正しい距離感だと思います。
「AIも努力も、使いこなしてこそ価値がある」
自動化よりも、“自分が主導権を握る副業”を選びましょう。